「クレジットカードはあまり作りたくない」「個人情報や信用情報に関わる審査に不安がある」「事業用の経費と個人の支払いを明確に分けたい」といった軽貨物ドライバーの方でも、ETCカードを持つことは十分に可能です。近年では、クレジット機能を持たないETCカードの選択肢が多様化しており、特に個人事業主や法人向けに特化したものが注目されています。
その代表的な存在が、事業協同組合などが発行するETCカードです。これらのカードは、通常、組合に加入することで利用可能となり、高速道路の通行料金は後日まとめて口座から引き落とされる仕組みが一般的です。クレジットカードとは異なり、個人の信用情報に基づく厳しい審査がない場合が多く、開業したばかりで事業実績がまだ少ない方や、個人のクレジットカードの利用状況に不安がある方でも比較的発行しやすいという大きなメリットがあります。これは、組合が事業の継続性や組合員としての信頼性を重視するためで、個人信用情報機関への照会が不要なケースが多いからです。
さらに、これらのカードの大きな魅力は、一部の組合が提供する**「大口・多頻度割引」**の適用です。これは、高速道路会社が法人向けに提供している「ETCコーポレートカード」に準じた割引制度で、月間の高速道路利用額や利用回数に応じて割引率が高まる仕組みです。例えば、月に数十万円以上の高速道路を利用する軽貨物ドライバーにとっては、この割引が適用されることで、通行料金の大幅な削減に直結し、年間を通せば数十万円単位の経費節減も期待できます。
ただし、協同組合のETCカードを利用する際には、いくつかの留意点があります。まず、組合への加入が必要となり、その際に加入金や年会費が発生する場合があります。これらの費用は組合によって異なるため、事前にしっかりと確認し、ご自身の利用頻度や節約効果と見合うかを検討することが重要です。また、支払い方法が口座振替に限定されることや、利用明細の発行サイクルなども組合によって異なるため、経費管理のしやすさも考慮して最適なカードを選びましょう。クレジット機能がないことで、不必要な借金を抱えるリスクを避け、健全な事業運営に集中できる点も、このタイプのETCカードが選ばれる理由の一つです。